雑記帳

書き散らします。舞台系が多いかもしれない。

虹の橋を渡っていった長男犬についての備忘録

2017年6月5日に、我が家の長男犬とさよならしたので、そのさいごとか、思い出とか、忘れたくないので文字にしてみる。

記憶っていい加減だもんなぁ。

割と誕生日とかもどうしても覚えられなかったりするズボラ人間なんダス

 

 

あんまり言いたくないことだけもうさっさと書いてしまおう。さいごのこと。

突然、ホントに突然、長男犬が動かなくなった。

帰宅して、普段ならすぐに玄関まで来て出迎えてくれるけども、その日は来なかった。

まあでも歳なのでその頃は寝てて帰宅に気付かないことも多くなってたので別に何も思わなかった。

でもリビング行ったらキッチンで長男が寝てて、それもまあよくあることだから気にしてなかったけど、夕飯食べても全然起きてこない。

長男は誰かが何か食べてると絶対やってきて行儀よく隣に座ってみたり、足を手でひっかいてみたり、何だったら足に上半身のっけて身を乗り出してくるし、そういう時にふとももに置かれた手にはグッと力が入って普通に痛い。

ぐらいだったし、その日の夕飯は焼き魚で、来ないはずが無いのに、ちっとも起きてこなかった。

なんで?変だな?ってものすごく吐きそうになりながら食べたのを覚えている。

食べ終わって食器を下げにキッチンに行くと、やっぱり寝ていた。

でも全然動かない。

隣にはもう寝てていい時間なのに姉がいて、多分そういうことなんだ、と思ってそのままウチも隣にずっといた。

歳は歳だったけど、そんなことになる前兆なんか一切なく、突然長男は動けなくなった。

長男は成長するにつれてトイレを一切家でしなくなった。

バセンジーという犬種そのものがかなり綺麗好きらしいけど多分輪にかけて潔癖で、自分のテリトリーでトイレしたくないらしい。

なので動けなくなったその日も夜寝る前のトイレ散歩に父が連れて行こうとするんだけど、ヨロヨロしていて、がんばって立って歩いていた。そんなの初めて見た。

その日夜トイレから帰ってきて、みんなで居間で寝た。

正直ウチはもう今日にでも死んでしまうのだと思っていたから、離れたくなかったし寝られなかった。

でも長男は、そこから一週間以上がんばってくれた。

翌日当然みんな仕事に行かなきゃならなくて、行きたくなくて、行ってる間に逝ってしまったらと、ウチはそれが一番怖かった。

意外と「仕事に集中できない」なんてことはないけど、携帯をまさに肌身から離せなかった。何か連絡が来たらすぐ知りたかったから。

朝のトイレ散歩には、同じくバセンジーの次男犬も一緒に行くのだけれども、時間の都合もあって父親ひとりで二匹連れていっていた。

でも長男がもう満足に歩けないので、外に出るまで抱えて、外に出てからも倒れる前に抱えるために、次男を連れていく人員が必要で、ウチは長男が動けなくなってからずっと一緒に朝トイレに行った。

ウチの職場は割となんでもありで、時差出勤が気軽に組めたから。一応上司には長男が逝ってしまうまでは時差します、とは報告した。

面と向かって言える気がしなくてメールでしたけど上司は「できることはしてあげなさい」と返信よこしてきて、泣いた。今も思い出して泣いているちくしょう。

だからウチはよっぽど姉と片割れより長男と一緒にいてあげられたのだ。

最期を看取ったのも親とウチの三人だった。

だんだんと本当に動けなくなって、もちろん何も食べられなくて、朝トイレも夜トイレもほぼほぼ抱えられてた。

そうして、その日の朝は、もう、今日逝ってしまうんだ、って、みんなわかってた。

だから、姉も片割れも、よっぽど会社行きたくなかったと思う。

でも、長男は、そのふたりには「いってらっしゃい」ってがんばった。

がんばって、がんばって、顔をぐしゃぐしゃにしながら家を出るふたりを見送った。

そうして、次に父親を見送る時間が近づいた時に、もう、だめだったのか、父親にはいてほしかったのか、呼吸が荒くなっていって、三人で長男を囲んで体をさすったり声をかけ続けた。

一度、ふぅっと大きく息を吐いた時に、きっと本当はその時にもういってしまうんだったんだと思うのだけども、母親が名前を呼ぶと、一度だけ、戻ってきて、そうしていった。

もともといってしまった翌日に送ってあげることに決まっていたらしく、その日は父親も会社へ向かった。

ウチも、もちろん時差出勤するところだけれども、長男のからだを冷やしておいてあげなければならないし、どうしても体内から出てきてしまうものだったりをどうにかしないといけないので、午後出勤にさせてもらって色々してから会社に行った。

そうして、次の日は休みをもらって、家族みんなで長男を送った。

もちろんその時もみんなで泣いたけれども、不思議なもので、お骨をひろう時にはみんなで泣き笑いながら思い出話で盛り上がった。

長男はとても綺麗にお骨をのこしてくれた。それこそしっぽの先まで。

次男は、しばらく明らかに元気がなくて心配させたけれども、そのうち調子が戻った。

ウチは、残業が酷い職場なので、よく帰宅時に夜散歩の長男に出くわしていたので、それを思って毎日帰り道泣いたりしたけれども、なんとかなった。

そうして一年経って、まだ母と姉は泣く時もあるけれども、予想していたほどのペットロスになる家人はおらず、過ごしています。

 

我が家の犬は「バセンジー」という犬種で、吠えないし体臭もない、体毛も短いから多分アレルギー鼻炎持ちだらけの家でも飼えるってことで母親が(いつからかは知らないが)調べた結果お迎えした。

一緒に暮らしていた母方の祖母が亡くなってから、母が家にひとりだけの時間が寂しいというのが決定打になったっぽいことだけうっすら知っている。

言うてもそもそも我が家はあまりシリアスな話は子供にまで下りてこないもんで、当時中学生だったワシには「犬を飼うことにした」ってことぐらいしか言われんかった。

ブリーダーさんのもとで決められた期間は親子で過ごさせてから引き渡しということで、両親は当然どの子を飼うか決めるために何度もお店に行っていたのだろうが、ウチはお迎え当日以外は一度だけ。

ちょうどごはん時で、兄弟みんなが大皿のごはんに顔を突っ込んでいて、一匹、また一匹とごはんから興味を失って遊び始める中、ただ一匹、いつまでもごはんを食っている他の子よりも少々大きい体躯のあいつ。

うーんTHE我が家に来る運命の子犬。

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あいつ多分いつもあんな調子でいつまでも食ってるんだろうな…って…だからちょっとでかいんだろうなって…

余談だが母親は「からだが大きい」=「多分丈夫」と思っているフシがある。

ウチが飼ってた長女うさぎは母親のパート仲間宅で生まれた仔うさぎをいただいてきたのだが、その時のリクエストも「一番大きいやつ」だったらしいと聞いた。

長女うさぎも一応ネザーランドドワーフだったが割とでかく成長した。

そうして満を持して我が家にやってくる日。ちょうど冬休みか春休みだかで家族みんないた。みんなで迎えに行った。

箱に入れられた長男を母が抱えての帰りの車中にさっそく

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こうである。

こいつ、多分閉所恐怖症。

もう必死に穴を広げて顔を出した。

知らない人間に囲まれてるとか割とどうでもよさそうだった。

狭い空間が嫌で嫌で必死だった。

その後も用意してあった大きめケージをさらに2つ連結させたかなり大きめケージですら嫌がり、最終的に混乱と恐怖とここから出たい欲求が混ざり合って半狂乱となった長男が力いっぱいケージに体当たりぶちかまして出入り口を破壊し飛び出してきたあたりでケージは捨てた。 

 就寝時なんかはむしろケージという自分のテリトリーがあると犬は落ち着くとか言う話は通用しなかったので早々に人間の、主に母親のベッドに潜り込んで寝ることになった。

ただ賢いコだったので、寝床を共にしたところで主従関係が解らなくなるようなことはなく、むしろ主従関係を理解している割に態度がでかいみたいな事態にはなった。

一番偉い父のベッドですら平気で入り込んだし、母親が深夜パートに出るようになってからというものウチのベッドに潜り込むのが定番化したが、ベッドの中央陣取るのでくの字で寝るはめになったり冬は寒いからか下まで潜り込んで脚の間で丸くなってた。恥骨に顎を乗せだす。たまにワシの足の裏をひたすら舐めてから寝てた。

 

我が家に来たのがみんな長期休暇期間だったせいもきっとあるが、長男は不安分離症の気もあったので、ついぞひとりで留守番はできなかった。

もうすごい。

特に母親が自分のそばにいなくなるとどうしても耐えられないらしく、車の中に家人と留守番だけでも、ヒャーヒャーとずっと鳴いてうるさい。

バセンジーは吠えない。

でも吠えられない訳じゃないので普通に声は出せるしそのコの性質次第で普通に吠える。長男も、誰かが家に入ってきた瞬間とか他の犬と出会った瞬間に、なぜか一言だけ、「バウッ」と吠えるコだった。次男は一切吠えない。

バセンジーの鳴き声は独特なので一度聞いてみてほしい。

「バセンジー ヨーデル」とかで調べたら多分出る。

もーーーーーーーうるさい。

「クーンクーン」とかそんなもんじゃない。

「ヒャーンヒャーンヒャーアアアアーーーーーーンヒャオオオオオオオオオオオオ」っつってどんどんでかくなっていく。うるさい。

そのうち諦めて寝始めるくせに毎回毎回鳴く。

どうしても犬だけで留守番してもらわなきゃならない時も当然あって、その場合は車に積んであるケージに入れるのだが、戻ってきて見てみると絶対に惨状が広がっているのでなるべくしなかった。

留守番中ずっと鳴いていたであろう声は嗄れ、服は腹いせに噛み千切られ、敷いてあったペットシーツもぐっちゃぐちゃに噛み千切られ(でも賢いので飲み込んだりは絶対にしなかった)、戻ってきた家族にめちゃくちゃガン飛ばしてくる。

車の中から犬を見つけても鳴く。そしてどうあがいても彼らと戯れることができない自分の状況を理解はしているので、そのどうにもならない状況への八つ当たりを後部座席に乗っているワシらにする。ひどい。

こいつホント八つ当たりがすごい。

結構他の犬と戯れるのが好きなんだけど、小さい犬種とか挨拶できないコとかは怖がっちゃうし、バセンジーの遊び方もまた独特で、知らないヒトが見たら喧嘩してるようにしか見えない激しさがあるので、基本的に散歩中も接触はさせられなかった。

しかも遠くからやってくる犬を見つけるとすぐに伏せて待ち構えるので獲物狙ってるようにしか見えない。

そうして遊びたい長男を抑えつけて犬が立ち去るのを待つ訳だが、この時もヒャーヒャー鳴きながら最終的に抑えつけてる人間の内股をチュン噛みしてくるようなヤツだった。普通に血が出る。

このチュン噛みが…ドッグランとか行くと割と普通に遊べる犬が来ているので自由に遊ばせたりしてたけれども、正直小型犬相手の遊び方があいつはおかしかった。

一緒に走って遊んでるというより長男が追いかけまわして遊んでるようにしか見えなかった。

しかもあいつ…追いかけまわしてる小型犬のケツを…チュン噛みするんだ…

毛の長い犬種が好きでよく追いかけまわしてたけれども、注意して見ると口元に毛がついているんだ…

そのことに気付いてからは小型犬がいるドッグランでは自由にさせないことに決めた。

 

あとウチらが学生だったので制服のお姉ちゃんが大好きだった。

ウチが中学生の間は母親の膝もそんなに悪くなくて日中散歩していたので、学校終わり時間に制服集団に遭遇しては近寄ろうとして抑えられていた。

この頃髪の毛をゴムで束ねていたが、そのゴムを奪っては噛み千切るのが大好きだった。ゴムを噛みきる感触が気持ち良いらしい。

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輪ゴムを噛みきるのも大好きで、よく人間に伸ばしながら持たせては、噛みきった瞬間にバチンと来ることも理解しているので目をシバシバさせながら奥歯で噛んでいた。

ウチが高校生になったぐらいに、母親の膝が悪化したので、日中の散歩はウチの仕事になった。

姉は働いていて片割れは商業系の高校だったので部活必須で、なのでウチは学校祭準備期間中でも、授業が終わると一度家に帰って散歩してからもう一度学校に行って準備する、とかもやった。

毎日毎日、長男の行きたい方向に行きたいように行って、結構長い時間を歩いて、結構信頼されていたと思ってる。

夜トイレは暗くて危ないからとかの理由もあって基本的に父親だったけど、仕事で遅くなる日とかは片割れとふたりで連れていったりすることも普通にあって、次男が来るまでは基本的にリードを持つのはウチだったので、トイレを済ませても割と長い時間の散歩を要求してくる長男を、もうさっさと帰りたい片割れが無理やり引っ張って帰らせる、みたいなこともよくあった。

しかも父親が夜連れていく時はトイレ済ませたらさっさと帰るらしい。ヒトを見ている。ウチが相手だと「こいつは歩かせようとしたら歩くぞ」と解っているので多少わがままを言う、かわいいヤツだった。

顔をただひたすらに舐めるのも、ウチにしかやらなかった。

ウチのこと何だと思っていたのだろう。寝転がっているとやってきて、顔全体を割としつこく舐めてから口の中を執拗に舐めてきた。割と毎晩。

両手で顔を抑えつけながら舐めてくるし、口の中を舐める段階になってこっちが力を入れて口を閉じたままでいると、チュン噛みしてくるという徹底ぶりだった。

兄弟か何かだと思ってたんじゃねえかな…それなりに言うこと聞いてたし、散歩で好きなように歩かせると言っても制御不可能だった訳じゃなくてちゃんとウチのスピードに合わせて歩くことができていたので、順位は多分長男自身より下ではなかったはずだけども、上だったかと言われると…微妙…

食事中に攻撃しかけられるのも大体ウチだった。一番どんくさいってのもあったろうけど。

肘にクイッとマズルを入れてくるのだ…これで何度味噌汁をぶちまけたことか…

多分同列くらいに見られてたんじゃねえかなぁ。

背中を撫でまわされるのが好きで、そっと背中を向けて隣に座る。

割と自己主張が激しく、トイレが我慢できなくなってくると正面切って座って見つめてくる。

でも「じゃあいこか」って服着せようとすると逃げ回る。どうせ日常的に服着てるし散歩っつったら服着なきゃ連れてってもらえないの解ってんだからたいして本気で嫌な訳でもないくせに、そもそも自分が散歩を要望してきてるにも関わらず、絶対に逃げた。

やつらバセンジーはシングルコートなので、おしゃれとかそんなことじゃなく服が必要なのだ…冬とかもうすごい。だんごむし。

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割とヤンチャな仔犬時代で、父親にひっくり返されてマズル掴まれてガチ怒りされることも多々あったけれども、そういう時必ずと言っていいほど寝た振りをした。

誰が教えたわけでもないのに怒られてる最中にスー…っと目を閉じ始めるのだ…多分「わたしはあなたに逆らいません…」みたいな意思表示なんだけどおかしくておかしくて。

バセンジーにしては珍しく、しっぽを触られることにあまり抵抗がなかったせいで、家族でしっぽ伸ばして遊んでいたら最終的に全然巻かなくなった。常に脱力しっぽ。

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次男が来てからは甲斐甲斐しく次男の世話を焼いていた。

次男がしっこすると必ず舐めに行っていた。そのせいで次男はおしっこしたあとに自分で舐めることができない…甘やかしすぎ…そしてその口でワシのとこ来るのやめろ…さすがにその口でワシの顔は舐めさせねえ…ってなった。

一時期次男が真似をしてウチの顔を舐めてきたことがあったけども、次男の舌は長男よりザラザラしていて、更に一部分を執拗に舐めてくるので、ヒリヒリして痛かった。普通に赤くなった。

でも世話焼く割に変にしつけが厳しくて、自分が寝ているソファに次男が飛び乗ってくることを許さなかったせいで、今でも次男はあまり「飛び乗る」という行為をしない。

そろーっと手をついて片足上げてめちゃくちゃがんばって静かに乗る。

あとガム…

ガム噛ませてると、最初は自分で押さえながら噛んでるんだけど、短くなってくると「おまえが固定してろ」って持ってくる。よだれでべたべたのガム…

仕方なく持ってる手を自分の手で押さえながら双方の手をべたべたにさせながら噛む…

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あとバセンジーらしく基本的にしっぽを振らない長男が、ウチの遠征帰りなんかに玄関先でぴょこ…ぴょこ…と振るのも嬉しくてなぁ。

うさぎも大好きだったわ。

一応獲物としてじゃなくて遊び相手として触れ合いたくてケージの外から鳴いてたけども、実際対面させてみると遊び方がやっぱり一方的だったのでやめさせた。

長女うさぎは気が強くて、長男が来てもブゥーブゥーと怒ってパンチとかかますぐらいだったので、家に来た時に長女うさぎよりも体が小さかった次男はすっかり先制攻撃を喰らってその後怖がって長女うさぎには一切近づかなかった。

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うさぎと戯れたくてやんちゃする長男

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長男はマッチョ体形で、胸筋がすごくてちょっと短足だった。

たまたまネット上で見つけた兄弟たちも同じような体形で血筋だなぁと笑った。

あと割とデブ…

次男は足が長くて体温が常に高いせいか瘦せ型で、最終的に体高は次男の方があった。

そんな次男も今では歳のせいかでっぷりしてきました。

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あと…あと…親バカを引いても、とにかく頭がよくて、ハンサムな顔してたよ。

他のバセンジーと撫で心地も違った。

不思議だけど次男は他のコと似た感触だけど、長男だけは違った。なんだろうね。サラサラしてた。

でぷでぷしてるおなかはあったかかった。

ずんぐりしてる手は大きかった。

うん。

我が家に来てくれてありがとう、ずっとずっと愛してるよぉ。

 

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シャイニング長男でおわかれ。